失われつつある幼き日の郷愁
●朝、鉛色の空から雨が落ち学校へ行くのがとてもいやだった。
母親に叱られてしかたなく学校へ行った。
下校する頃にはすっかり晴れ上がって白い雲の切れ目から青空が顔をだし、鋪装されていないあちこちの道のくぼみの水溜まりに「あめんぼー」が泳いでいる。
覗き込むと自分の顔と青空が映って何故か素晴しい明日が来ると思えた。
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●ドシャ降りの雨がトタン屋根を叩き夜中に眼がさめた。幼い心は眠れぬままにいろんな事を考えた。友達の事、先生の事?。
木の建具は少しの風でも音がする。夜、布団の中で、かすかな音に、「もう春だなー」と感じる。台風の時などは、とても寝ていられない、仕方なく起きて、自然の脅威を味わった。
この遠き日の記憶はいまでも鮮明に思い出される。このささいな事は幼い心を動かすには十分であった。
我々は、このささいな出来事を抽象化しつつも建築のなかに挿入し、具体的な人間生活と交差させることによって、建築に内包される営みを常に新鮮で、感動的なものとすることを求めている。
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